養育費を負担する期間は? ~未成年と未成熟

養育費の発生する期間は、その対象となる子が未成年または未成熟である場合といわれていますが、実際はどうなのでしょうか。

未成熟とは?

未成熟とは、自ら独立をして生活を営むことができないものを言います。
逆に言えば、社会に出て自分の収入で生活ができるようであれば、未成熟とは言いません。

学校に通っていれば17歳でも未成熟ですが、就職をしていたり若しくは学校に通わず働くことができる状態である場合には未成熟とはいいません。

未成熟子には養育費が必要です。

未成年とは?

未成年とは20歳未満の者を言います。
高校を卒業して独立をし自らの収入で生計を立てていても未成年となります。

養育費が必要な未成年とは、経済的に独立できない者を言うので、
一つの目安としては子が学校に通っているか通っていないかが判断基準となります

20歳を過ぎた大学生は?

20歳を過ぎれば、未成年でもなくなり自立は十分可能であり未成熟とは言えないでしょう。
しかし、大学に通いながら働くことができない場合には自立しているとはいえません。

そこで20歳を過ぎた大学生の養育費については、大学に通うことが親の職業、収入、生活レベルから特別なことでないと考えられる場合には認められる事になっています。

過去の養育費は請求できる?

例えば、お金が無い元夫の変わりに妻が子を育てた場合に、その費用を過去にかかった養育費として元夫に請求することはできるのでしょうか?

結論から言うと過去の養育費を請求することは可能です。

親が子を扶養する義務というのは、逃れえることのできない重たい義務です。
ですから、一時その費用「(養育費)の支払いから逃れたとしても、その扶養義務は消滅しないために養育費の負担義務も消滅しません。

とはいっても、いきなり多額の養育費を請求される側にとっては、
養育費の請求が不測の事態になりかねないという問題があります。

そこで、過去の養育費とすべきものを請求された時点から計算をする方法が取られています。
つまり、請求していなかった時期の養育費については請求することができないとされています。

とはいっても、養育を受ける未成年者等に養育費が必要なことは明らかであり、
養育費の請求されていなっから負担をしないというのは公平に欠けます。

ですから、実務では請求という概念を拡張しつつ一切の事情を考慮して、
以後の養育費の支払いを決定しています。

養育費の増額や減額はできるか?

子の養育費が何かしらの理由で足りなくなった場合には、相手方に養育費の増額請求はできるのでしょうか? 結論から言うと、可能です。

一度決められた養育費でも、その後の事情の変化によって増額が認められます。

養育費の増額

養育費の増額が認められる事情の変化として、

  • 物価の上昇
  • 進学や病気などの理由
  • 支払いを受ける側の収入減
  • 支払いを行う側の収入増

などがあげられます。

養育費の減額

支払う側の会社の倒産や、受け取る側の経済状況が良くなったりした時です。

養育費の変更の方法

お互いが話し合って決まるのであれば、問題はありませんが、
話合いでは合意に達することができなかった場合には調停をします。
家庭裁判所に対して「養育費請求の申立て」と同じ手続きをします。
とはいっても、現実的には養育費の減額請求は支払いが滞って必然的に減額となることが多いです。
ですから、この場合には養育費の増額請求が大半を占めています。

養育費の支払いが滞ったときの請求方法

養育費の支払いが滞ったときはに行う手続きで、強制執行以外の方法をご説明します。

協議離婚の場合

公正証書を作成していない場合には、家庭裁判所に「養育費請求の申立て」を行います。
これは養育費について、家庭裁判所の調停で改めて話合いをするという形になります。

ここで解決がしなければ、審判に移ります。
調停や審判が成立をすれば、調停調書や審判調書が作成されてそれを元に養育費の支払うを受けることができます。さらに、強制執行ができるようになります。

申立先家庭裁判所:相手方の住民票のある家庭裁判所もしくは合意し家庭裁判所 申立人:父もしくは母(子の代理人として) 必要なもの:自分と子と相手の戸籍謄本、1200円の収入印紙

調停離婚、審判離婚、裁判離婚の場合

寄託制度・・・支払いと受け取りの仲介をしてもらう制度です。
相手が「養育費を直接支払いたくない」といったときに利用します。

履行勧告・・・裁判所から支払いの勧告をしてもらう制度です。
電話でもできる簡単な手続きで「養育費を支払ってくださいよ」と裁判所が勧告してくれます。

履行命令・・・裁判所から支払いの命令をしてもらう制度です。
期限内に支払いが行われない場合には、10万円以下の過料にするとされています。(費用300円)

養育費の支払いを確実にするために ~公正証書の作成

養育費について取り決めがなされても、養育費の支払いが行われなければ意味がありません。
養育費については支払い期間も長く高額になることからきちんとした対策を立てる必要があります。

決めた養育費が絵に描いた餅にならないためには、公正証書にすることが最低条件です。
養育費の公正証書化は、離婚協議書に養育費について記載をして公正証書かにするのが一番です。

公正証書にする理由は、養育費の支払いが滞ったときに裁判をせずに相手の財産を
差押える事ができる点です。この公正証書にすることを怠ると、裁判をしなければ相手の
給料や貯金などを差押える事ができません。

また、公正証書には強力な証拠力があるので、「そんな約束をした覚えは無い」などということは、一度公正証書を作ってしまえば通用しません。改ざんなども不可能なことから、公正証書にするメリットは大きいといえます。

とはいっても、差押(強制執行)は養育費を確保するための最後の手段です。
ですからその前に、調停や帰宅制度、履行勧告、履行命令をしますが詳細は別項に譲ります。

養育費の相場は?

実は養育費の相場というのはありません。
なぜなら、養育費はさまざまな要素を計算をして算出するからです。

養育費の算出手順として一番に行うことは収入支出を調べることです。
次に必要生活費を算出し最後に分担額をきめ養育費を算出することになります。

収入支出を調べる

収入を源泉徴収や給与明細などで算定します。どうしても相手が協力をしない場合には、
全国の平均給与(賃金センサス)によって収入を算出します。

次に、支出を住居費、食費、光熱費などをあわせて算出します。
固定資産税、住民税なども対象となります。
このとき、領収書や引落口座の通帳の写しなどが必要です。
この他必要に応じて支出を証明しますが、支出については一覧表を作成すると便利でしょう。

必要生活費

必要生活費を算出する方法は全部で4つあります。

    • 実費方式
    • 生活保護基準方式
    • 学研方式

」

  • 標準生計費方式

今回はこの中で一番多く使用されている生活保護基準方式について説明します。
まずは、養育費基礎収入を算出します。

収入ー支出ー(収入の1割から2割)=養育費基礎収入

つぎに、双方の立場に立った生活保護費を上記の養育費基礎収入から差引き分担能力費を算出します。

つぎに、父親と子が生活した場合と母親と子が生活をした場合の子の生活費を比べて高いほうを子の生活費とします。

上で決めた子の生活を親の養育費分担能力費に応じて比率で分担します。

このような手順で養育費は計算されます。

養育費の相場

先に養育費には相場が無いと説明しました。
しかし、それでは納得できない方もいると思うので、裁判所が目安として算定した「養育費算定表」を
参考にして話合いを進めることができます。

この養育費算定表を基にした養育費の目安については、無料で算定いたします。
メールで夫婦のお互いの収入とお子様の年齢をお知らせください。

離婚に関する養育費とは? ~養育費は誰が負担する?

離婚をして子がいる場合に、親権や看護権に関係なく養育費を支払う義務があります。
養育費の支払いは親の義務であり、養育費の請求は子の権利でもあります。

離婚の際にその夫婦間に未成年者がいる場合には、親権者を絶対に定める決まりになっています。
その際に、任意ですが養育費についても取り決めがなされるのが通例です。

一般的に言われる養育費とは、子を引き取った親に対してもう一方の親が支払う金銭を指します。
養育費は親の親権や監護権の有無に関係なく発生するので、親権者であるからといった理由や、
監護者であるからといった理由で、養育費を余分に負担しなければならなくなるといったことはありません。

この養育費というのは、自らの生活を犠牲にしてでも相手の生活を維持しなければならないとされています。そういった意味では、夫婦間の扶養義務よりも重いとされています。

また、養育費には、子の衣食住、教育費、医療費などが含まれます。

内縁関係の財産分与はどうなる?

正式に婚姻届を出していないのに夫婦のような生活をしている者を内縁といいます。
内縁が解消された場合の財産分与はできるのでしょうか?

日本は法律婚を建前としてます。つまり、婚姻届を提出しなければ夫婦とはいえないとしています。
しかし、現代ではそれが不都合になり、内縁といえでもそれなりの保護を与えようとする動きが出てきました。そこで最近では、内縁でも婚姻関係に準じた法律的保護を受けることができるようになりました。

内縁が解消されたときの財産分与については結論からいえば、
認められます。

しかも、慰謝料についても請求が可能となっています。

ここで注意したいのが、内縁関係が認めれても相続は認められないということです。
内縁の妻や夫は、相続人にはなれません。
つまり、財産の分与の請求はできないことになります。

*内縁関係が認められるかどうかはケースバイケースです。

■内縁関係が認められなかった判例
16年に渡り仕事を相互にし旅行などをしていたが、同居はせずに生活の維持は自己がし共有財産もなかった。そして、2人の子供の養育につき一方は係わり合いを持たず両者は意図的に婚姻をしていなかった事例で、婚姻に準ずる関係を否定(内縁を否定)した

債務超過の夫から妻への財産分与 ~債権者取消権・詐害行為取消権

民法では債権者取消権といって、債務者の行った財産を消滅させる行為を債権者が取り消すことができます。ここでは、夫が妻に行った財産分与で無財産になった場合を想定して説明します。

世の中には、債権者からの強制執行などを防ぐためや破産をするために自分名義の土地や建物を妻に財産分与をして偽装離婚をする方々がいます。

また、そういった考えがなくても離婚をして財産分与を行った結果そうなってしまう場合もあります。
妻に家を与え、自分は無一文になるケース。

最高裁の判例では、

離婚における財産分与は、夫婦が婚姻中に有していた実質上の共同財産を清算分配するとともに、離婚後における相手方の生活の維持に資することにあるが、分与者の有責行為によつて離婚をやむなくされたことに対する精神的損害を賠償するための給付の要素をも含めて分与することを妨げられないものというべきであるところ、財産分与の額及び方法を定めるについては、当事者双方がその協力によつて得た財産の額その他一切の事情を考慮すべきものであることは民法七六八条三項の規定上明らかであり、このことは、裁判上の財産分与であると協議上のそれであるとによつて、なんら異なる趣旨のものではないと解される。 したがつて、分与者が、離婚の際既に債務超過の状態にあることあるいはある財産を分与すれば無資力になるということも考慮すべき右事情のひとつにほかならず、分与者が負担する債務額及びそれが共同財産の形成にどの程度寄与しているかどうかも含めて財産分与の額及び方法を定めることができるものと解すべきであるから、分与者が債務超過であるという一事によつて、相手方に対する財産分与をすべて否定するのは相当でなく、相手方は、右のような場合であつてもなお、相当な財産分与を受けることを妨げられないものと解すべきである。そうであるとするならば、分与者が既に債務超過の状態にあつて当該財産分与によつて一般債権者に対する共同担保を減少させる結果になるとしても、それが民法七六八条三項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情のない限り、詐害行為として、債権者による取消の対象となりえないものと解するのが相当である。

と判決を出しています。

要約すると、離婚に伴う財産分与は、民法七六八条三項の規定の趣旨(財産分与は夫婦の一切の事情を考慮して決定される)に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分(債権者を欺く行為)であると認めるに足りるような特段の事情のない限り、詐害行為とはならないとしています。

また、取り消されるのは、財産分与全体ではなく不相当に過大であった部分のみです。

財産分与の請求者が死亡した場合 ~請求権は相続されるか?

財産分与を請求する側が死亡した場合に、その請求権は相続されるのか? という疑問があります。
また、財産分与を請求される側の死亡についても問題になります。

財産分与を請求する側が死亡した場合には、清算的慰謝料財産分与と慰謝料的財産分与は相続され、扶養的財産分与は相続されないかまたは減額されるとされています。

つまり、扶養的財産分与以外の財産分与については、死亡した者の相続人は、
相手方に対して財産分与の請求をすることができます。

なぜ、扶養的財産分与が減額等されるかについては、
扶養される者が死亡することによって、扶養権が消滅するとの考え方が強いからです。

■扶養する側、つまり財産分与を請求される側が死亡した場合 裁判例では、死亡した夫の資産を相続した子に対して、元妻が財産分与請求をしたものについて、 子と元妻との間に財産分与の協議が可能であること、子は相続をするのかしないのか決めることができることが可能であることから、扶養的財産分与を認めた判例があります。