婚姻費用は一切の事情を考慮して夫婦が分担しなければなりません。

民法上では、「夫婦は、その資産、収入そのほかの一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と定めています。

つまり、収入のある配偶者は、他方配偶者へ生活費を渡さなければなりません。これは、自分と同程度の生活ができるくらいの金額でなければなりません。とはいっても、夫がベンツに乗っていれば、妻もベンツを乗らなくてはならないといった事ではありません。夫がベンツに乗っているのに、妻が食費で困っているのは夫の婚姻費用分担義務違反だという程度です。

ところで、この婚姻費用分担義務とは、生活保持義務とも言います。これに似た言葉で生活扶助義務というものもあります。両者の違いは、自己と同水準の生活を保持するか、生活保護レベルの最低限の文化的な生活を保持するのか違いです。そして、生活扶助義務よりも生活保持義務のほうが優先します。

包括扶助義務とは自己が、自己の親に負う扶養義務で、仕送りをすることなどを指します。つまり、両親への仕送りよりも妻への生活費のほうが優先するということです。