調停では、離婚の成立のみならず、離婚に関係のある慰謝料や財産分与の話もします。ただ、こういった話合いをしているときに、慰謝料や財産分与を行う方が財産を隠してしまう事があるかもしれません。
これでは、せっかく調停離婚で慰謝料や財産分与の取り決めがなされても絵に描いた餅になってしまいます。
こういった不当な行為への対策は、調停前の仮の処置という処分で対抗します。調停前の仮の処分とは、相手方に財産の処分恐れがある場合に、調停委員が財産の処分の禁止を命じるものです。
調停前の仮の処分に違反したら?
もしも、調停前の仮の処置に違反をした場合には、過料が科せられます。そういった意味で、調停前の仮の処置には、財産の処分が行えなくなるという強制力はありません。調停とは、話合いをする場所なので、そういった場所の前に、強制力の有る財産の処分の禁止を行うのは適当でないからです。
強制力のある仮処分
今まで説明した仮処分は家庭裁判所に対して行う手続きで強制力はありません。強制力を持たせたい場合には、地方裁判所に対して仮処分を申立てます。家庭裁判所の仮処分には保証金が不要ですが、地方裁判所には保証金が必要です。そして、手続きがやや煩雑です。しかし、地方裁判所の仮処分は、例えば不動産を売ってしまったとしても取り戻せますが、家庭裁判所の場合には罰金10万円ですんでしまうので状況によりどちらがいいか判断します。